新宿 北村写真機店のカウンターで、お薦めライカを味わい尽くす|Vol.050ライカQ343 “Formula 1® Edition”
カメラのキタムラレビューサイト『ShaSha』より転載
はじめに
皆さんこんにちは。ライターのガンダーラ井上です。新宿 北村写真機店の6階にあるヴィンテージサロンのカウンターで、ライカをよく知るコンシェルジュお薦めの一品を見て、触らせていただけるという企画、『新宿 北村写真機店のカウンターで、お薦めライカを味わい尽くす』。本企画ではコンシェルジュの方にお薦めライカを用意してもらい、その機種の魅力を伝えていただいております。
コンシェルジュのお薦めは?
今回お薦めライカを見立てていただいたのは、新宿 北村写真機店コンシェルジュの押柄和樹さん。彼はコンシェルジュとして活動開始して間もない新人さんですが、前回(vol.046)はライカM10-Rのブラックペイントという通好みの一品を紹介してくれました。さて、今日のアイテムは何でしょう?
ライカQ3 43のスペシャルエディション
「本日のお薦めはライカQ3 43を予定していたのですけれど、そのスペシャルエディションがちょうど入荷してきたのでご覧になりますか?」と控えめな態度で提案してくれた押柄さん。そんな美味しい申し出を断るなんて野暮なことはしません。ぜひ拝見したいですと答えると、箱入りのライカがカウンターの上に登場しました。中箱にかけたオビからもスペシャル感が伝わってきます。で、このカメラはどんなところがスペシャルなのでしょう?
フォーミュラ1のライセンスを受けたモデル
「ライカQ3 43 “Formula 1® Edition”になります。こちらは出たばかりの商品でフォーミュラ1とのコラボになっています」と箱を開けながら押柄さんの説明が始まります。
フォーミュラ1といえば不肖ガンダーラのようなオジサン世代にはエフワンという呼び方に馴染みがあり、20世紀には民放地上波で古舘伊知郎アナウンサーが熱い口調で実況放送していた世界最高峰のモーターレーシングのカテゴリという認識が一般的かと思います。今回の製品名に“Formula 1® Edition”とあるように、この名称は登録商標でライセンスなしに使うとダメみたいです。当然ですが本製品はFormula 1®とライカカメラ社のライセンスパートナーシップのもと企画・製造されているそうです。
どうしてQ3 43が母体に選ばれたのか?
レースの撮影といえば超望遠レンズを構えて猛スピードでコーナーに突っ込んでくる瞬間を撮る!みたいなイメージもありますが、ライカQ3 43のレンズは固定焦点の43ミリですよね?
「ライカSL3-PなどではなくなぜQ3 43になったかというと、ライカは報道写真の道具という歴史があり、戦場やドキュメンタリーの世界でカメラマンが被写体に接近して撮ることが多かったことから、モータースポーツにおいても今回の世界線では超望遠で遠くから撮るのではなく、パドックやピットに接近して撮るための道具としてQ3 43になったのだと思います」と押柄さんは持論を展開してくれました。
カーボンファイバーでレーシーな雰囲気に
そんなアグレッシブな撮影に対応することを想定してか、ライカQ3 43 “Formula 1® Edition”は各種のアクセサリーであらかじめ武装してあります。正面から見てまず目を惹かれるのは、ノーマルのアクセサリーと異なるグリップの質感です。
「ハンドグリップには本物のカーボンファイバー製のプレートを使用しています」と説明してくれる押柄さんは実のところクルマにはあまり興味がないということで、それは世代的には一般的な感覚のかなぁ。と思いつつ、不肖ガンダーラとしては純カーボンファイバー製の外殻とチタン無垢材削り出しの機構部を持つ4×5カメラを所有していたこともあり、この質感には馴染みがあります。
サムレストもカーボンでチューンナップ済み
「サムレストとレリーズボタンにもドイツ国内で製造された本物のカーボンファイバー製のプレートを使用しています」と背面を見せてくれる押柄さん。この炭素繊維を格子状に編み込んだ素材は超軽量で捩れ応力にも負けない素性から、レーシングカーにとって欠かせないマテリアルです。最近、友人の所有するフェラーリ・ベルリネッタに乗車させていただくチャンスを得たのですけれど、開けてくれたボンネットの中も、ステアリングから出ているパドルも、ドア横の構造物も格子状のテクスチャを持ったカーボン素材が惜しみなく使われていて痺れました。
通常のライカQ3 43との違い
左がライカQ3 43 “Formula 1® Edition”で、右が通常モデル。貼り革のカラーだけでなく、よく観察すると焦点距離の数字やマニュアルフォーカス用のフィートのスケールがスペシャルエディションでは赤で統一されています。それ以外で何か特別な点はありますか?
「ライカルックスにフォーミュラ1が用意されていて、FOTOSのアプリからダウンロードが可能です。これは通常のライカQ3 43にはインストールできない専用のルックになっています。コントラストが強調されビビッドな色合いになっているのでサーキットの臨場感をより演出できます」とのこと。
クルマ好きにはピンとくるスペシャルな貼り革
さらに、ライカQ3 43 “Formula 1® Edition”にはクルマ好きにはピンとくる仕掛けがもうひとつあります。それは往年のプレミアムスポーツカーから継承される3本スポークハンドルや高級外車の内装に使われているマイクロベロア素材がボディに貼ってあること。そっとカメラに顔を近づけると、なんだか新車のようないい匂いがします。
「当店ライカフェローの丸山さんに聞いたのですが、このカメラをお買い上げになった方が『これ、アルカンターラだね!』と断言されていたそうです」とのこと。ちなみにアルカンターラとは東レ(旧:東洋レーヨン)が開発した人造スエード革・エクセーヌのイタリア生産版のことだそうで、クルマの世界ではハッセルブラッドの内面反射防止に使われた起毛素材の“パルパス”よりも知名度が高いもののようです。
まとめ
というわけで今回はスクランブル(緊急発進)的な流れで、ライカQ3 43 “Formula 1® Edition”を押柄さんが紹介してくれました。付属品のレンズキャップやストラップにもFormula 1®公式ロゴマークの入ったこの品物は、どんな人に向いているでしょう?
「ヴィンテージサロンにお越しいただくお客様は経済的な余裕がある方が多いので、カメラ以外にも腕時計やお召し物だけでなくクルマに強い興味のある方が圧倒的に多いと思います。その中でもスポーツカーが好きな方にはたまらないものだと思います。あるお客様はカメラだけではなくクルマも大好きで10数台を所有しているだけでなく、サーキットで行われるイベントにも通っているそうで、そのような方にお薦めしたいと思います」
ご紹介のカメラ
ライカQ3 43 “Formula 1® Edition” 税込1,515,250円(新品)
案内人
ヴィンテージサロン コンシェルジュ:押柄 和樹
ヴィンテージのブラックペイントライカの魅力に惹きつけられた新人コンシェルジュ。自分自身が使い込んでいくことでヴィンテージライカのような自分だけのライカを作り上げたいという思いから、念願のライカM11グロッシーブラックを手に入れたとのこと。
執筆者プロフィール
ガンダーラ井上
ライター。1964年 東京・日本橋生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、松下電器(現パナソニック)宣伝事業部に13年間勤める。2002年に独立し、「monoマガジン」「BRUTUS」「Pen」「ENGINE」などの雑誌やwebの世界を泳ぎ回る。初めてのライカは幼馴染の父上が所蔵する膨大なコレクションから譲り受けたライカM4とズマロン35mmF2.8。著作「人生に必要な30の腕時計」(岩波書店)、「ツァイス&フォクトレンダーの作り方」(玄光社)など。編集企画と主筆を務めた「Leica M11 Book」(玄光社)も発売中。
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ライターのガンダーラ井上氏が当店6階ライカヴィンテージサロンにあるライカを紹介する企画『新宿 北村写真機店のカウンターで、お薦めライカを味わい尽くす』の第13弾です。本記事はカメラのキタムラポータルサイト『ShaSha』より転載しています。
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※価格は取材時点の税込み価格です