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石井靖久 写真展「△」

2021.11.01

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医師・写真家の石井靖久 氏による写真展「△」を2021年11月26日(金)~2022年1月12日(水)に開催いたします。

石井靖久 写真展「△」

医師・写真家の石井靖久 氏による写真展「△」を2021年11月26日(金)~2022年1月12日(水)の期間に当店6F Space Lucidaにて開催いたします。

-△

ある日、通りすがりのこの眼を奪った、薄白い布を掛けられた三角形の物体。

生きているような、そうでないような、生命体の断片のように見えた。

その時からその物体が気になって仕方がない。

時とともに細部の記憶は曖昧になり、色は薄れ、境界は不明瞭になっていった。

しかしその存在だけは脳内で増大し、少しずつ視覚を圧迫しはじめた。

本展は、石井靖久の自然写真群の総称である『細胞の海、神経の森』から派生した作品によって構成されている。

写真家、石井靖久は医師として人の身体内の現象を身体外から読み解く行為を日々遂行している。彼の行動の起点は、見ることにある。見ることに集中し、そこに存在する事象を抽出し、注意深く推測想像することで現象の意味を同定する。

このプロセスは、写真表現においても同じ軌跡を描く。こうして今まで医師として触れてきた数多くの特殊な領域の表象と、石井自身の“脳の個性“が合わさることで揺るぎない視座が確定し、彼にしか撮ることのできない写真作品が生み出されていく。

被写体という具象を写しとりながらも、その表層の奥にある本質に迫ろうとする行為を進めていくうえで、石井は染色・顕微鏡的観察・画像診断などの様々な医学的手法を写真表現に応用している。医療と写真という2つのドメインが融合・共振することで稀有な世界観が表出するとともに、石井の見ようとする本質の断片が鑑賞者への問いとして発せられることになる。

無意識のうちに動的平衡を形作る生体と、その相似形を成す事象。

集団としての意識を共有することで保たれる、人間社会の構造。

同じものを見ているという前提が孕む矛盾と、それを乗り越える想像力。

本展の作品群に通底する視座から抽出されたシグナル。

それは「△」だった。

「△」から始まるイデアの連鎖が、視覚の本質を呼び覚ます。

タイトル

石井靖久 写真展「△」

会期

2021年11月26日(金)~2022年1月12日(水) 10:00~21:00※
※ 店舗の営業時間に併せて、変更する場合がございます

会場

新宿 北村写真機店 6F Space Lucida

入場料

無料

協力

ライカカメラジャパン株式会社

写真集

「細胞の海、神経の森」の母細胞に位置付けられる作品群が収録された写真集「a sea of cells, a forest of nerves(bookshop M刊)」も取扱いあり。なお会場ではオリジナルプリント付き特装版も部数限定で販売予定。

石井靖久(医師・写真家)

1980年東京生まれ。医師、写真家。

2018年、染色という医学的手法を用いて写真を再考察する表現で写真集「Staining」、翌年には医学で構成された脳が紡ぎ出した自然写真群「a sea of cells, a forest of nerves」を出版。

医師と写真家に絶対的に共通する、しかし他者とは共有できない「みる」という行為の葛藤を考察すべく、視覚と脳の関係を軸とした表現で作品制作を行う。

本展「△」はライカギャラリー東京以来2年ぶりとなる、完全新作による写真展。

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